あの人は今スペシャル

佐伯昌二氏 闘病記

人生何が起こるかわからない。
ILC社で活躍中だった佐伯昌二氏は、ある日突然病魔に襲われたのだ。
現在活躍中の諸兄も注意しなくてはいけない年齢である。
ここで諸兄に警報を鳴らす意味も込めて、佐伯氏自身が書き綴ったの闘病記を掲載することにした。
熟読いただきたい。

2005年6月11日

社内会議の昼食時に倒れ、意識不明の状態。
ILC社の社長が同乗し救急車にて聖路加国際病院に運びこまれた(らしい)。

診断は、動脈瘤破裂による脳内出血(通称:クモ膜下出血)。呼吸停止状態にて最悪の状態。
お袋や近親者が呼ばれ最悪の事態が想定されたが、奇跡的に意識を取り戻し、緊急手術により一命
を取り止めた。

ICUにいた2週間、私の意識はあったらしいのだが、正直言っていっさい記憶にない。

手術の結果、一命を取り止めたものの動脈瘤の発症箇所が右下小脳のあたりで解離性とのこと。まれなケースであり手術も緊急による暫定的なため再出血を防ぐためにも後頭動脈のバイパス手術が必要との判断であった。
しかしながら手術例も世界で30例ほどしかなく、聖路加国際病院では、手術経験がないため手術ができないとのことであった。全国の病院を探していただき、その道の権威である東大付属病院の古屋先生に執刀いただくことになった。しかし運悪く、東大付属病院より帝京大学付属病院に7月に転勤したとのことで、7月13日に帝京大学付属病院に転院となった。

古屋先生は、若手ながら非常に物腰の柔らかい正に東大出といった感じのお坊ちゃま的な先生であったが、風貌とは裏腹にその道の権威だけのことはあり自分の腕と脳外科に対する深い知識に自信がとても感じられ手術に際しての現状の状況、手術内容やリスクとその対処方法を正直に1時間もかけてわかり易く図解で説明していただいた。安心してすべてをお願してまちがいないと家族全員で確信できるほど熱意のある丁寧な先生であった。
とは言うものの先生としても今回の症例では、手術経験がなく最善を尽くすとのことであった。

正に「まな板の上の鯉」状態でありすべてをお任せするしかなかった。でも、気持ちの上で家族もこの
手術が必ず成功するという確信を持っていた。内心は違ったかも知れないが家内を初めとして娘たちも
手術の成功を信じまったく心配していないことには、私自身とても勇気付けられた。

私自信も「脳外科学会に成果が論文発表されればいい記念で良いかな?」位の軽い気持ちで手術に
対する不安は何故か一切なかった。一度なくした命なのだから怖いものは無いという心境でもあった。
(ほんとうは、大手術であることをよく知らず本人はいたって楽観的であったのだが・・・・。)


7月19日朝8時

家族の「頑張ってね」の言葉に見送られ手術開始。「目が醒めたら終わってますから・・・」とのことで、よくテレビドラマで見るライトで照らされた手術台に寝かされ麻酔開始。想定以上に動脈瘤が大きく、3箇所をチタン合金の金具でクリッピングした上で後頭動脈をバイパスした。8時間の予定ところ動脈瘤が思ったより大きく12時間にも及ぶ大手術となった。その間のことは一切覚えていない。この間待つ家族にとってどんなにつらい長い時間であったことだろうか。

後で聞いた話だが手術中に本人は、メールのことやらお客さんのプレゼンのことについてうわごとを言っていたと古屋先生から聞き、この後に及んでなんと仕事人間であるのか自分で自分に呆れてしまった。

全身麻酔から目が醒めICUにて意識の回復の中で声が出せ手足が無事に動きお袋、家内、娘たちの顔を見たとき手術が無事成功したことを確信した。

その時、私の目から大粒の涙が流れた。それは、決して今まで家族の前で見せたことのない涙であったが、人目をはばからず涙し手術の成功と家族のきずなに感謝した。
この涙を娘たちがどう感じてくれたか判らないが家族のきずなと父親として病気に打ち勝った「たくましいお父さん」として記憶に残してくれれば良いと思っている。

この時、毎日自分に目標を定めリハビリに励んだことも大きな回復につながった。

毎日1時間のリハビリ後は、手術と長い入院期間のため足腰の筋力がなくカッコ悪いかなヘトヘトだった。やはり年には、勝てないものである。

手術後MRI検査で頭に水が溜まる症状が確認され(通常よく起こることらしいが)注射器で抜くことになったりカテーテルによる最終検査での血管造影後に何故か3日程微熱が続き、退院を前にして足踏みしたがこれらも順次回復しついに2度の手術を乗り越え8月20日退院となった。
この間、47日間にもおよび80才のお袋が四国の松山から上京し、不自由な足で毎日慣れない東京で電車通いをして献身的に看病してくれたことに50歳近い息子としては、今更ながらに頭の下がる思いであり感謝している。「親よりも先に先立つ親不幸」にならずに済んだことをほんとうに良かったと思っている。
また、家内や娘たちも毎日交代で看病し「わがままなお父さんだね」と言いながら頑張ってくれたことに感謝してる。

さらに、ILCのメンバーや友人達の多くのみんなから励ましのお言葉をいただきほんとうに感謝の気持ちでいっぱいです。正直言ってこんなにも多くの方々に心配いただけるとは、思っていませんでした。人生は、やはり多くの人達に支えられながら生きていることを実感しました。

現在、自宅療養中であり体力回復と共に通常生活に戻れるようにリハビリ中です。10月頃には、皆さんに元気な姿をお見せし職場復帰が徐々にできればと思っています。
また、皆さんも健康には、くれぐれも注意してください。私も健康体と思っていましたが病気は、突然襲ってくるものです。今回、ほんとうによい教訓となりました。

では、一日でも早く復帰できる日を楽しみにまた皆さんお会いしましょう!

佐伯昌二 記

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